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「アニキ!やっぱり策を考えてからにしないと、またみつか…ムッ!?」
いきなりアニキの大きな手で口が塞がれた。
「ふぁにふんのふぁ!ふぁにひぃ!」
(なにすんのさ!アニキ!)
口を塞がれながらも必死に抵抗して喋ろうとしていると
「しっ…!」
人差し指を唇に当て、静かにしろとポーズをとる。するといつも行商人が入ってくる方の入口方面から怒号のような声が聞こえてきた。
「オイ!この村には二つの珍しい武器があるらしいな!噂で聞いたぜ!」
「な、なんのことでしょう?」
入口では、村長より大きい男性2人が、すごい勢いで村長に怒号を浴びせている。
「この村の人たちが痛い目にあうのを見たくねぇなら、さっさと出しやがれ!」
村長は今にも逃げ出しそうなへっぴり腰で、大男2人に対して応対している。
その様子を僕が眺めていると…
「あれ、利用するぞ。」
「えっ!?」
「ウルフ。お前は、アイツらをジンジャの扉の前まで連れてくるんだ。」
なにかひらめいたようで僕に向かってそう小さな声でつぶやく。
「でも、そんなの…」
「無理じゃねぇ。俺は、お前を信じてる。だからお前も、俺を信じろ。」
「アニキ…」
『紅蓮の尻尾は?』
これは僕達2人の合言葉みたいなものだ。アニキがこういうと。
『兄弟の証。』
こう答えるのが決まりになっている。
「勇気出たか?」
いつものように優しい笑顔で頭をなでるアニキを僕は見上げて
「うんっ!」
そう力いっぱいうなづいて見せた。
「でも、ジンジャの前まで連れていくにしてもアニキはどうするの?」
ジンジャには隠れられそうな場所はなく、隠れられるとしてもジンジャの中だけだ。でも正面には相当古い鍵がかかっている
「忍び込んでやる。」
「でもどうやって?」
「正面からがダメなら窓から入ればいい。」
「なるほど!じゃあ、僕がジンジャの扉の前にアイツらを連れていくから『この鍵壊れそうだ!』って言うのを合図にして!」
「よーし、わかった。」
2人でコソコソと話し合い作戦会議を終えると、自らの持ち場に着くべく行動を始めた
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