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大男のひとりがジンジャの扉の前に立ち扉に向かって視線を向ける。
「おい!この扉鍵かかってるぞ!」
男がこちらに向かって、そう大きな声で叫ぶ。
「『その鍵、壊れそうだ!』」
そう僕が精一杯の声で叫んだ瞬間…
ドゴォォォォォン!という轟音と共に扉が蹴破られ大男が、階段を転がり落ちてきた。
「おいおい!なんだ!?」
もうひとりの男が動揺を隠しきれず大きな声で叫びながら砂煙でボケている人影を目で捉えた。
「て、テメェ!誰だ!」
段々と砂煙が晴れていき、アニキの姿が見え始めて来た。
「誰だァ?自分が名乗らねぇのに人に名乗ってもらおうたァ、ふてえ野郎だ!無理は通して、意思を貫く!テメェの道はテメェで決める!『紅蓮の尻尾』の、鬼マスター!クロウ様たぁ、俺の事だ!」
両手に細長い黒い入れ物に入ったカタナを肩に担ぎ、もう片方をアニキがつけてる腰巻の布にさして、声高々に、名乗りを上げる。
アニキ…!メチャクチャ痺れたよ!
「テメェ、意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇ!」
動揺していた男が勢いをつけてアニキに向かって走っていく。
すると、視界の端でもうひとりのが同じようにアニキに向かって走っていくのが見えた。
「あ、アニキ危ないっ!」
僕は反射的に叫んでいた。普段は出そうと思っても出ない大きな声で。
「使えウルフ!」
腰巻に巻いていたもう1本の白い入れ物に入ったカタナを僕に投げた。僕は全力で走り、それを掴み取る。
「お、重いっ!でも、このままじゃ、アニキがっ」
気がつくと吹っ飛ばされた男がアニキの後から石を持ち、頭上に振りかざしている。
「う、うぉぉぉぉぉっ!」
全力で走って僕は、重いカタナを振りかざし、アニキの後ろにいる男の頭に向けて一撃を振り下ろす。
ガキィィン!
振り下ろした一撃は男の後頭部に直撃し、男は意識を手放し、地面へと崩れ落ちた。
「アニキは!?」
崩れ落ちた相手を目で追って下を向いていた僕はバッと顔を上げ、アニキを見た。
「おう!こっちは片付いたぞ。ありがとな。ウルフ。」
良かった…アニキが無事で…
そう安堵に顔を緩ませるとアニキは頭をワシワシと撫でてくれた。
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