第2章

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 そんな思い出を回想しながらバスルームのドアを開けると子供たちの姿はなく、浴室から水音が聞こえてくるので、急いで服を脱ぐと勢いよくドアを開けた。 「待たせたな!順番に洗ってやるぞ」 「えーママだといい加減だからなぁ」 「…口が達者なのはミシェル似か」  クランがため息を吐きながらシャワーヘッドを手にすると、ひなたを座らせて頭の上からお湯を注ぐ。 「ダリアは先に湯槽に入ってろ」 「ううん、ここで終わるの待ってる」  ニコニコしながら返すので、文句を言いながらも楽しみに待っている辺りがやはり可愛い。 「なら先に自分の身体洗ってろ。ひなた終わったらやってやる」  ダリアは返事をするとスポンジを手にした。  ミシェルがあさひとTVを見ながら女性陣の入浴が終わるのを待っていたとき、壁にあるインターフォンから声がした。 『パパ、ママがおかしいの』 「あさひ、待ってろよ」  返事も聞かずに慌てて浴室に入ると、湯槽に浸かってグッタリしているクランの姿が。 「クラン?大丈夫か?」 「の…のぼせた」  何やってるんだと脱力したが、服が濡れるのも構わず抱き上げ素早くバスタオルで身体を包み、そのまま寝室へと連れて行く。
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