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玄関の方から物音が聞こえてきたのでアルトが雑誌をテーブルに置いたとき、ちょうどシェリルがリビングに入ってきた。
「お帰り」
「ただいま」
軽くハグをすると、シェリルが周りを見渡してからアルトを見上げた。
「子供たちは?」
「何だ、聞いてなかったのか。ミシェルのところにお泊まりだってさ」
「せっかく久しぶりにみんな揃うと思ったのに」
「ミシェルが入れ知恵して、二人きりにしろって言ったみたいだな」
アルトが少し呆れた感じで答えると、シェリルは一瞬キョトンとした顔になったがその後ニヤリと不敵に笑った。
「あら、それは素敵な心遣いね」
「あいつはロクなこと教えないからな。さっきも、あさひに弟欲しいなんて言われて。大方、ミシェルが言ったんだろ」
「意味…分かってないわよね」
「さすがにそこまでは…」
そこまで言ってから二人して顔が熱くなるのを感じた。
幾度となく肌は重ねてきたが、子供にその事を焚き付かれると恥ずかしいような、見透かされているのではないかと照れがあった。
今更と思いながらも、いざとなるとそういうことに対して積極的になれないシェリルのことを引き寄せた。
「どうする?」
「…女にそれ言わせるの?」
肯定の答えと受け止め、彼女を抱き上げた。
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