第3章

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 頭上で震え鳴っている携帯電話を布団の中から手だけを出し、やっと捕まえるとそのまま引きずり込む。 「もしもし?」 『おはようアルト。昨日はお楽しみだったか?』  含み笑いの声に、わざわざ聞かなくたって分かってるだろうにと思いながら、答えに困って適当に相槌を打つ。 「どうしたんだよ、朝から」 『ああ、お前のところのチビたちなんだけど、今日俺もクランも仕事でさ。とりあえずそっちに連れて行こうと思って、今マンションの前なんだよ』 「はぁ?」  ミシェルの言葉に、アルトが慌てて飛び起きた。  まさかこんなに早く子供たちが戻ってくるとは思っていなくて、まだシャワーも浴びていなければ何も準備できていない。 『アハハ、その慌てぶり見ると、さては疲れてそのまま寝ちゃったパターンだな。悪い悪い、まだうちのマンションだよ。そろそろこっち出るから、迎えに出れるようにしておけよ?』  ミシェルにからかわれたのかと安堵し、電話を切ってからまだ眠っている彼女を見下ろした。 「何よ、そんなに見つめちゃって」 「起きてたのか」  アルトの返事に、やっとシェリルは目を開けてから小さくアクビをした。 「もうちょっと寝ていたかったんだけど、話し声で目が覚めちゃったわ」
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