第2章

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 布団の用意を終えてリビングに戻ってくると、クランが寛いでいた子供たちに声をかけた。 「チビども、お風呂行くぞ」 「はーい」  ひなたと共にあさひが立ち上がると、その首根っこをミシェルが掴んで行こうとしたのを止めた。 「こら、何あさひも行こうとしてるんだよ」 「え?だってお風呂入るんでしょ?」 「クランの裸見ていい男は俺だけ」  そう言うと軽々とあさひのことを抱き上げ、膝の上に座らせて完全に動きを封じ込めた。 「あさひはまだ子供なのに。パパ、大人げないよ」 「ダリア、放っておけ」  クランが踵を返してリビングを出ていくのでひなたたちもそれを追いかけ、そんなクランの顔を見たひなたが不思議そうに呟いた。 「…クランちゃん、顔真っ赤だよ」 「こ、これは別にヤキモチ妬かれて嬉しいとかじゃなくてだな」 「ママ、顔に出すぎ」 「ダリア!」  本当のことを指摘され照れ隠しで娘の名前を呼ぶも、当の本人はひなたの手を引きバスルームへ。 「全くミシェルのやつ、恥ずかしいことを」  一人残された廊下で文句を言うもその顔は怒りなど無く、むしろ嬉しそうだった。
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