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「そんなぁ! 先輩の貞操は私が奪う予定だったのに。女になるなんてひどいっス!」
「別になりたくてなった訳じゃ……って、さりげなく本音明かすのやめろ」
落胆する後輩に突っ込みをいれ、同期に目を移す。
「……で、エメロ。特対はどう動くんだ?」
「詳しいことは政府や連邦警察と調節中らしいが、とにかく状況がわかるまでは戒厳令を敷き、迷宮街の出入り口を封鎖することになりそうだ。当面の俺達の仕事は現状の把握、原因の究明、それに混乱の収拾といったところか」
そう答えた同僚は、つと鮮血色に染まった空を見上げ、
「魂交換(ソウルトランス)か。……奇怪な」
と呟いた。
魂交換。
さしずめ、この理解不能な現象に巻き込まれた俺達は魂交換者(ソウルトランラー)といったところか。
ふと思った。さっき会った七三分けのサラリーマンも、もしかしたら魂交換者なのかもしれない。あの様子だと、どこぞのチンピラと入れ替わってしまったのだろう。迷宮街なんかに来なければ、こんな妙な事態に遭遇することはなかっただろうに。運のない奴だ。
……ま、俺もだけどな。
深いため息をついたところで、遠くの銃声が耳に届いた。
「……ふん。さっそく混乱が起きているようだな。やれやれ、余計な仕事が増える」
「エメロ。俺も加勢する。自分のためにも早く原因をつきとめたい。マツリ、俺の背中のゴーストを頼む。本部まで連行しておいてくれ」
俺は眼鏡の同僚に助力の意志を告げ、その隣の後輩に用向きを頼んだ。
だが――
「いや、お前はいい」
ヘッドセットを装着したままのエメロは首を小さく振る。
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