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「……ち、わかったよ。で、何を話せばいいんだ?」
「うーん。そうですねぇ。まあ、やっぱり最初は自己紹介からですね」
「は? 自己紹介?」
「なんですか、その嫌そうな顔は? 自己紹介は挨拶の基本ですよ。では、私からいきますね」
そう答えてポサポサの黒髪はコホンと咳払いをした。
そのわりに「いやぁ、照れるなぁ。何話そうかな」と少し頬を赤くしている。
「え、えーっと。私はソネット・バークレイです。名前はおじいちゃんにつけて貰いました。私は小さい頃からおじいちゃんと一緒にこの街に住んでいて……あっ、年は多分十五歳です」
たどたどしく話をするソネットを見ながら、俺は改めてこいつは馬鹿だと認識した。
自分を捕えに来た奴に経歴をべらべら話す人間がどこにいる。俺のさっきの忠告がすっぽり抜け落ちているようだ。しかも多分十五歳というのも意味がわからない。
呆気に取られる俺をよそに、ソネットは照れながら話を進める。
「おじいちゃんは三年前に死んじゃったんですけど、機械に詳しくて色々教えてくれたんです。それで私も興味を持っていじるようになって」
「……で、犯罪に手を染めた、と」
「そ、それは知らなかったんです! ……はーぁ……おじいちゃんが知ったらきっと怒ります。中央システムは情報が豊富なので、つい便利に使ってしまいました」
「お前……辞書代わりに中央システムを使うなよ」
そのために何重もの防壁を突破したというのか。怖ろしい奴だ。
唖然としていたら「じゃあ、次はレドさんの番ですよ」と笑顔を向けられる。
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