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「な、何だっ!?」
慌ててマツリの通話を切った俺は、声のした部屋に飛び込んだ。
目に入ったのは上半身裸の俺。いや、正確には、俺の姿のソネットが、上着を脱いだ状態で、脱衣所の鏡を見ながらフルフル震えている、という状況だった。
「シャ、シャワーに入ろうとしたら、誰かが覗いているんですっ! 変態ですっ!」
「……そりゃあ、今のお前だ馬鹿。俺の顔に向けて変態なんて二度と言うな」
「……あ……そういえば……」
ソネットはぽりぽりと頭を掻いた。心なしか目がトロンとしている。
「いや、失敗失敗。つい身体が入れ替わったことを忘れそうになりますね。あああぁっ!」
「な、何だっ。ど、どうした!?」
「む、胸がない……豊満な胸が無くなっていますっ!」
「大丈夫だ。それは最初から無い」
「うわーん。ひどいよぉ。私が、私に向けてひどいことを言うよぉ」
わんわんと喚くソネットを見ながら、俺は全身の力が抜けていくのを感じていたた。
はぁ……やはりこいつは馬鹿だ。再認識して脱衣所を後にする。が、突如振り返る。
「いや、ちょっと待て! お前シャワーに入る気か!?」
「はい」
「はい、じゃねえ。ちょ、ちょっと待ってくれ」
なんというか……自分の身体が見られるのは、少し嫌だ。
男ならまだしも、元のこいつは超のつく美少女だ。トイレならまだお互い下を見ないという協定が結べるかもしれないが、身体を洗うシャワーの場合そうはいかない。俺が躊躇していると、ソネットはニヤリと笑った。
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