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「ひ、ひ、ひどいっス! あんまりっス! 先輩は私のものなのにぃ!」
「……いつお前のものになった。というか。そういえばお前、よくも俺を騙してくれたな!」
睨む俺に、ペコリと頭を下げるマツリ。
「あ。すんませんっス。だって、ラブモン先輩を捕えればいつでも会いにいけるし……」
「怖っ! お前が一番怖いわっ」
エメロは上官命令で従わせたと言っていたが、むしろ積極的じゃねえか。
「……………………ん、今俺のこと何つった?」
ふとマツリの台詞に違和感を覚える。
そういえば。組織には陰で俺のことをラブリーモンスターとか呼んでいる奴がいるらしいが。
「てめえかぁぁぁぁぁぁ!」
「ひいいいっ! だって可愛いんスもんっ! ごめんなさいっスぅぅぅぅ!」
慌てて病室を飛び出るマツリ。後を追って息の根を止めようとしたが、胸の辺りがズキズキと痛んで起き上がれない。まだ怪我が治っていないようだ。
「……ったく。ニュースが多すぎて、逆に混乱するぜ。それで全部か?」
痛む箇所を押さえながら俺が言うと、エメロは呆れたように溜め息をついた。
「……いや。一番でかいニュースがある。目覚めたばかりとはいえ、とっくに気づいていると思ったんだがな……気づいてないようだから、教えてやろう。おい、入ってくれ」
そう言うと、エメロは眼鏡のつるを片手で持ち上げながら、ドアの付近に目をやった。
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