3人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい。遠野 拓己(とおの たくみ)と申します」
精悍な顔で強く答えた。
自分の胸を探ると、そこにあったはずのネームプレートが消えている。
「……繋がっているよ」
「あっ……すみません、怖かったですか? 自分は不器用なので上手く笑えなくて」
「それ、聞きましたよ」
そっと囁いてクスリと笑った。
「それでは失礼します」
遠野が敬礼して別れの挨拶をしたが、
「また逢えますから」
わたしは確信を持って答えた。
見上げた空は何処までも青く澄んでいた。
その向こうへ届くように、心のなかで口ずさむ。
彼方の未来に生きるきみへ──わたしは人と繋がりを持って、この世界で生きています。
──彼方のきみへ 終。
最初のコメントを投稿しよう!