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「でも、タクミの紐は輝きが強いわ。それに空に昇っているじゃない」
「ハルカは臨死状態にあるんだと思う。それで記憶が失われて、この中有界を彷徨っていたんだよ。
だけど現世の身体が弱っているから、その魂の紐が切れ掛かっているんだ」
「タクミもそうなの?」
そう訊くと、またタクミが言いづらそうに眼を瞬いた。
「僕はちょっと違うんだ……きみを、ハルカを救いに来たんだよ」
「わたしを……!?」
「その魂の紐を辿っていけば、きっとハルカの身体が見つかるはずだ」
タクミが自信ありげに頷いた。
そのタクミを信じて、わたしは魂の紐を手繰りながらこの中有界を、自分の身体を求めて歩いた。
「ねえタクミ、わたしってどうして死に掛けているのかな?」
隣に並んで黙々と紐を見詰めながら歩くタクミに問い掛けた。
「……ハルカはどう思うの?」
「タクミの紐って空に昇っているじゃない? それってきっと天国に繋がっているんだよ。
それに比べてわたしのは地面に刺さっているから、きっと地獄に行くような死に方をしているかもね」
「そ、そんなことないよ」
「ううん、なんとなく分かるの……わたしって不器用な生き方しかできないから、もしかしたら自殺とかしてたりして」
「なんで自分を貶めることを言うの?」
タクミが頑なな表情で声を尖らせた。
「この世界って何処にも誰にも繋がっていないから、わたしみたいな誰とも繋がれない人間が来る場所なんだと思って──」
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