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卒業式の日。
桜は綺麗に咲き、クラスメイト達は泣きながらも笑顔で教室から去った。
そこに私だけが取り残される。
思い残すように、沢山のメッセージが書かれた黒板を眺め、私は涙を流した。
「…まだ、残っていたのですか」
「…先生……――」
私がここを去れない原因。
「泣いていたのですか?」
「…先生とさよならなんだって思ったら……――」
胸が締め付けられるように苦しい。
「私……先生のこと…好きなんです」
先生は言葉を失う。
そりゃ、そうだよね。
「ごめんなさい。
でも、最後に言えて良かった」
あふれるように、私の目からは涙が零れ落ちていく。抑えようのない涙。
そんな私を先生は優しく、強く、抱き締めてくれた。
「…僕も。
貴女の事が…好きです。
だから……泣かないでください」
優しい先生の声。
私は、先生の胸で泣きじゃくった。
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