第1章

3/3
前へ
/3ページ
次へ
今日は卒業式。俺は二年、彼女は三年。 俺は今日、大切な人と別れた。恐らく、永遠に会うことは無い。だが、俺はこれで良いと思う。 俺と彼女は別々の道を歩む。彼女は忘れないと言ってくれた。俺も忘れないと言った。彼女は涙ぐんだ。 春は好きかと良く聞かれるが、その時は毎回こう答える。『どちらでも無い』と。 別れの春が嫌いだ。好きになっていた人と離れ離れになってしまうから。 出会いの春が好きだ。同じ学校の後輩も、違う学校の後輩も、同じように新鮮に感じるから。 来年度のこの学校には、どんな生徒が来るのか。 せめてこの学校を去る彼女らにも、入る後輩にも、俺にも、あなたにも。 この先、幸が多からん事を祈って......別れを告げる。  ─完─
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加