1人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は卒業式。俺は二年、彼女は三年。
俺は今日、大切な人と別れた。恐らく、永遠に会うことは無い。だが、俺はこれで良いと思う。
俺と彼女は別々の道を歩む。彼女は忘れないと言ってくれた。俺も忘れないと言った。彼女は涙ぐんだ。
春は好きかと良く聞かれるが、その時は毎回こう答える。『どちらでも無い』と。
別れの春が嫌いだ。好きになっていた人と離れ離れになってしまうから。
出会いの春が好きだ。同じ学校の後輩も、違う学校の後輩も、同じように新鮮に感じるから。
来年度のこの学校には、どんな生徒が来るのか。
せめてこの学校を去る彼女らにも、入る後輩にも、俺にも、あなたにも。
この先、幸が多からん事を祈って......別れを告げる。
─完─
最初のコメントを投稿しよう!