ログブック

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食事を済ませた後、曾祖母に薦められるままに隣の寝室に向うと、そこには、布団が一つと枕がニつ用意されていた。 俺は布団に横に成り、ラジオをつけてみるが、何時もの騒がしいだけの深夜放送しか流れていなかったので、すぐに消した。 彩は俺の横に腹ばいに成って寝転びながら、今日買ったログブックに何やら書き込んでいる様だが、俺がそれを覗き込むと、 「だめ、覗かないで!ちゃんとまとまったら、読ませてあげるから!」と言った。 時計は十二時を少し過ぎたところだった。携帯の電波は届いてはいなかったが、俺は目覚ましを五時半にセットし、コードをつないで充電をした。 十五分位で、ログ日記を書き終わらせた彩に、 「本当に書くのが早いね、羨ましいよ。」と言うと、  彩は、笑いながら、 「“私にできるのは、これくらいですから。”って言わなかったっけ?でも、一つ位、あなたより優れてる事が無いと、へこんじゃうわ。」 と言い、 「もう、寝ましょう、明日早いし。」と言って、電気を消したが、直に浴衣の帯をほどき、俺の耳もとで、 「優等生は、ちゃんと、子作りの練習もしないとね。」とささやき、俺の帯を外して、身体をあわせてきた。 翌朝、目覚ましが鳴る前に眼が覚めた俺は、携帯とラジオを持って、静かに隣の囲炉裏のある部屋に行き、山登りの服に着替えて、外に出る。 俺は、興味ほんいに買った煙草に火を点け、それを吹かしながら、ラジオをつける。ラジオはまだ何時もの早朝の番組を流している。俺はラジオを消して、西の空に傾いている大きな月を見ながら、煙草を吹かし続けた。 その煙草を吸い終えた後、家に入ると、彩は既に起きて着替えを済ませ、俺が脱いで畳んでおいた浴衣を畳みなおしながら、曾祖母と話をしていた。
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