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正直な話、今は後悔してる。 ほんの数十分前、学校から家に帰る途中の横断歩道で見つけたこの子を、決死の思いで助けたことを。 今日は卒業式の日で、僕はいつも通り。 愛用のヘッドフォンを付けて、ひとり黙々と帰路に付いていた。 馬鹿騒ぎをしてる男子達、寄り道や旅行の相談をしている女子達、いちゃついているカップル。 そういう、青春を謳歌している奴らを見て、いつもの様に思う。 ああやって同じように口を動かして、同じタイミングで笑ってみれば、輪の中に入れるのだろうか、と。 でもこんな思考が浮かぶ度に、僕はその思いに消しゴムをかける。 多分、いや絶対、僕には無理だから。
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