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「あの、石田三成というアルバイトは何なんだ?」
店長、そんなこと言われても困りますよ。
「ただのアルバイトですよ」
イエスマンの副店長としてはそう答えるしかない。
「あいつが夜勤に入ると弁当や肉まんの廃棄がほとんどない。あまり美味しくないドーナツの売上も三倍になる」
そんな本音言っちゃダメですよ、店長。
ソコソコ旨いですよ、ドーナツ。
「あれはあいつの淹れるミルクコーヒーが旨いので、深夜のファンがいるんですよ。それと発注の仕方が神業的なんです。販売予想力が凄いんです」
<発注の魔術師>と言われてる副店長歴十五年の俺も舌を巻くほどだ。
奴のことは<不廃棄の天才軍師>と呼んでおこうか。
「そんなオリジナルメニューが本部にバレたら大変じゃないか」
店長の顔が曇る。
「大丈夫です。SVとエリアマネージャーは僕が買収していますから、バレません」
何か嫌な感じの汗を店長がかいてるように思うが、気にしないでおこう。
「こほん。まあ、奴のことはお前に任せるので頼むぞ」
咳払いをしつつ、店長は二階の仮眠室に消えた。
さてと、今日も奴の軍略を見せてもらおうか。
そんなことは露知らず、石田三成は今日もお客さんにコーヒーを振る舞う。
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