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シリアでの長期リゾートバイトに応募したのだが、何故かISISでロシア軍の空爆を受けている石田三成であった。
時給は高いのだがシリア産原油の現物支給で、国境を越えて、無事、生きてトルコに辿りつければ換金できるというハードルの高いものであった。
コンビニバイトの副店長だった、島左近も一緒だった。
「三成、日本人部隊の残存兵は120で、トルコ国境まで約10キロほどある」
揺れるランドクルーザーの中で戦闘部隊長の島左近から報告を聞く。
左近は迷彩服の上から黒装束をかぶり、黒覆面から目だけが覗いている。
「このままロシア軍の空爆がなければ、何とかトルコ国境まで辿りつけそうですね」
三成も同じ黒装束姿で答える。
部隊は黒のトヨタ製ランドクルーザーで構成される数十台の戦闘部隊、その中央に大型原油輸送トラックが10台ほど存在していた。
このトラックをトルコ国境越えて、無事、トルコに届ければ任務完了で、この過酷なリゾートバイトも終わりを告げる。
「島さん、あなたがいなければ、僕だけではここまで来れませんでした。本当にありがとうございます」
三成は島左近に感謝の言葉を述べる。
「いや、お前の軍略がなければ、ここまで生き残ることさえできなかっただろう」
島左近はコンビニバイトで出会って以来、この石田三成という男に惚れ込んでいた。
(―――島隊長、トルコ国境付近にロシアのSu24爆撃機がいます)
先行してる偵察部隊から通信が入った。
(分かった。俺の部隊を出撃させる)
左近は手短に答える。
「三成、ちょっと行ってくる。お前は先にトルコ国境を越えて待っていてくれ」
「了解です。ご武運を」
島は黒いランドクルーザーの戦闘部隊、数十台を率いて出撃していく。
三成はこれが島との今生の別れとなるかもしれないと思った。
ただ、この人ならきっと生きて帰ってくるとも確信していた。
「三成に 過ぎたるものがふたつあり 島の左近と 佐和山の城」とうたわれた石田三成の重臣、島左近。
三成の所領が四万石だった際に半分の二万石を与えて召抱えたと言われている。
関ヶ原の戦いにおいて、三成のいた西軍劣勢の中、奮戦してよく戦ったという。
最後は東軍の黒田長政隊の鉄砲に撃たれて壮絶な戦死を遂げたと伝えられている。
ただの同姓同名だと思うので、関係ないエピソードだが。
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