8月

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『おい、カス、祐也に話をしに行け』 と、メタボに指示されたのは月曜日の朝の事。 金曜日から仕事再開して、土日は東京でライブだったし、疲れてるから今日は家でゆっくり…と思ってたけど、行かなきゃ駄目だもんな。 でも今なのか。 確かに、ラジオが有った水曜日以降は、メディアで5股騒動のニュースを見る事は全く無くなったし、まぁ寧ろ先週月曜日からほぼ無かった感じだけど。これに関する世間からの意見も、SNSでは全く見なくなった。 マネージャーKを検索すると、出てくるのは普通にハル個人への話題ばかり。 予定外にハルが軽く有名人になっちまったっていう弊害が起きたものの、一応終息した今回の騒動。 でも後片付けは当然必要よな。 先ずは祐也からか。 その祐也に話をするのに、実家に帰った方がいいのかと思ったら、昼休みを狙って祐也の職場に直接行くようにとメタボに指示された。 呼び出して外で話さなきゃいけないらしい。 なので午前中には家を出て、メタボに聞くまで知らなかった現在の祐也の職場へ… 行くのはいいんだけど、証拠が無いのにどういった感じに切り出せばいいのか? 『証拠は要らない。 これリークしたのお前だろって、推測で話していい。お前が俺の事好きなの、気付いてないとでも?って、上から強気に出て大丈夫』 おお…マジでか…w 仮にも11歳も年上の成人男性相手に、従兄弟とは言え小僧がそんな口利き… まぁそれで上手くいくって事か。 とは言えそうとなれば若干心の準備が要る訳で… 祐也の職場に行くまでに、一応話の流れを頭の中でシミュレートしておく。 でも、どういう反応するのかあんまし想像付かねぇんだけど…これでも従兄弟だし、話した事であんまり険悪な感じになんのは嫌だなー… だけど話さない訳にはいかねぇから。 取り敢えず腹は括って、祐也の職場近くまで来た所で、メタボに『ここで待て』と言われたのは完全にオフィス街の道端。 特に隠れられるような場所も無かった為、街路樹で木陰になっているガードレールの上に腰掛けて暫し待つ。 少しすると昼休みになったのか、メタボが示したビルからゾロゾロ人が出て来て、その中に同僚っぽい人と一緒に祐也もそこから出て来た。 どうも一人になるところを待つのは無理そうなので、そのまま祐也の目の前に真っ直ぐ進み出て 「ちょっと話が有るんだけど」 と、祐也だけ連れ出してオフィス街の路地裏へ。
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