4月

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レンさんと咲良くんがギターやピアノを弾きながらあーでもないこーでもない言ってたら、ハルが苦笑いでそう言った。 まぁそもそも、俺とハルには提示された曲の好き嫌いを主観で言える程度の知識しか持ち合わせてないからな。 さっきのだと、確かに咲良くんが提示したサビの方が入りが綺麗で耳にはすんなり入ってきたけど、それはつまり在り来たりだからか。 しかしこういうのは一度行き詰まると本当に難しい。 その後も二人は討論しながら色んなリズムを作り出していき、聴いてるこっちも段々訳が解らなくなってきた。 そしてその間にも料理はどんどん出来上がり、曲が決まらないまま気付けばあっという間に菊音ちゃんと約束した時間。 その時間通りに、新たな来客者の菊音ちゃんと琉生さんが家にやってきて、白熱してギターを弾いていたレンさんを余所に、ハルが来客二人を出迎えに玄関へ出て… 連れて戻ってきた際に、ここまでの流れを何も知らない菊音ちゃんが 「わ~、なんかすっごいカッコいい曲!何これ新曲?…あっ!レンさんだ!!」 と言ったので、レンさんの演奏の手が止まった。 「え…今の良かったですか?」 「超良かったです!ね?」 「うん、凄い疾走感あってカッコ良かったです」 「そうそう!なんか物語が始まりそうでワクワクする感じ?w」 菊音ちゃんと琉生さんが言った言葉で、レンさんと咲良くんはハッとした表情で顔を見合わせた。 「こ、これじゃね…?」 「これですね…!」 「やっとキター!!」 「あー、良かったー!もう後はなんとかなりそうですね! お二人共有り難うございます!」 「あ、はい?」 最早完全に迷宮に迷い混んでいた作曲家二人と、一緒になって混乱していた俺達を、菊音ちゃんと琉生さんが救ってくれたようだ。 しかも最初にレンさんが弾いたのと全く別の曲になったなw で、その曲をこれからもっと細かく調整したいからって、レンさんと咲良くんは直ぐに帰ろうとしたんだけど、作った夕飯も持ってってほしかったので、帰り支度をしていた二人を呼び止めて急いで夕飯をタッパーに盛り付け。 その間に菊音ちゃんと琉生さんがレンさんに握手とサインをお願いしてて、レンさんを囲んで3ショットでハルが写真を撮ってあげていた。 俺のファンの方の間じゃ、レンさんもかなり有名人だもんな。
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