6月

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──────歩─ 久保に言われた通り、卒業前に千葉をデートに誘ってみたんだけど、唯一しっかり時間が取れそうだったこの間の土曜日が潰れてしまったので、色々考えたら1日日曜日の今日しかなかった。 それでもあんまり時間は無くて、もう来週が江崎あゆみの卒業公演だから、グループの子達とダンスレッスンが午前中から15時までを予定しているので、その後16時に吉祥寺にって約束をした。 夕方からしか結局時間が取れなかったから、外で夕飯食べる感じでデートして、そのまま徳永邸に泊まらせていただいて、明日の学校も直接行ってしまおうと。 なので朝から制服や学校鞄込みの大荷物。 今日はマネージャーの七瀬さんに付いて来てもらうような仕事じゃないから、自分で移動するんだけど、流石にこの学校用の荷物をメンバーが居るスタジオに持って行く事が出来なくて、朝早い時間に一旦事務所に立ち寄った。 今日の事を久保に相談したら湯川さんに話を通してくれて、今日偶々久保と湯川さん別行動だからって、湯川さんがこの荷物を徳永邸に届けておいてくれる事になったから。学生やってる事を内緒にしてる七瀬さんにはちょっと頼めないしな。 事務所に着いてから真っ直ぐ湯川さんのデスクへ、行く途中の会議室の扉前に奏太さんと、俳優の岬さんという男性が、扉の上部に有るガラス張りの小窓から中を覗いていた。 「おはよーございます」 「あ、江崎さん、おはよー」 「おはよー、すげぇ大荷物じゃん、どこ行くの?」 「あ…これは仕事とは関係無い荷物なんですけど… お二人共何してるんですか?」 「え、ちょっと覗き見?ww」 「今ハルくんに週刊紙の取材が来ててw イケメン過ぎるマネージャーって記事書きたいってw奏太がブログで紹介し過ぎたせいだよなw」 「いや~w」 「そうなんだ…ハルくんww」 ウケるwww久保がまた妬くやつじゃん、これwwwww 小窓から中を覗いたら、本当に記者の人とハルくんと湯川さんが会議室内に居た。 あ、つか、湯川さん… 「え、この取材いつからやってるんですか?」 「さっき入ってったばっかだけど?」 「あ…そうなんだ…」 えー、じゃあまだ暫く出てこないだろうし、荷物どうしたらいいだろう?
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