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「……はぁー……」
高級感漂うデスクに項垂れる男、名前を大園貴也と言う。
肩書は、某大手自動車メーカー 代表取締役社長。
年齢を29歳。
最近では、歳を重ねたお蔭で益々色香を増しているとの噂だ。
ここは所謂、社長室と言われる部屋に当たる場所だ。
デスクの後ろ、大園の背後に見える壁は天井から床までオールガラスになっている。
外からはこの部屋が丸見えになっているのだろうか。
丁寧に掃除されており、指紋、埃一つ付いていないガラス張りの壁は存在を消してしまっているようで少し近寄りがたい。
その窓から外を見渡せば、殆どのビルがこのビルよりも下に位置している。
故に、この社長室を一望出来るのは難しい。
ビルの最上階で、上質なレザーを貼られたデスクに項垂れる。
レザーの質感と、独特の匂いが何ともたまらない。
デスクの上には、書類や書籍に資料それとファイル等が、隙間を開けること無く、その上質なレザーを覆い隠している。
どれもこれも目を通さなければいけない物ばかりだ。
その整理だけでも半日時間を潰す事になる。
「……あぁー……」
うんざりだとでも言いたげに、またデスクに頭を垂れた。
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