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女性秘書は、持って来たコンビニの袋を逆さまにしたかと思うと、粗々しく袋を上下に振っている。
中からは頼まれていたゼリー飲料水がボトボト、とデスクの上に落ちた。
大園の指示に従いはしているのだが、眉山を少しビクつかせてみせた。
「……おい」
「あっらぁ、社長。申し訳ありません。いい加減ウィダーを届けるのに飽きてしまいまして」
大園は飄々と口を開く女性秘書をジロリと睨んだ。
そんな視線にも臆さず女性秘書は腕を組み鼻を鳴らし、真っ直ぐに大園を睨んで来ている。
「社長。何か反論でもございましたか?」
「はぁー。いや、良い」
背中を覆い隠す程の、豪勢な椅子の背もたれにどさっ、と勢いを付け背中を預けた。
秘書の嫌味と解る言葉に反論を、と思う大園だったが。
言い返せば、倍返しで返って来そうな気がした。
肩の力を抜き、天井を眺めて溜息を付く。
大園の疲労は、ここ最近の社長室に隔離されている状態を見れば明らかで、そろそろ身体の方も悲鳴を上げそうになっていた。
「はぁー。全く!引きこもり人間もいー加減にしてください。大体!!こんなもんばっかり食べてるから、直ぐ体が疲れて来るんでしょーよ!毎日、毎日飽きもせずウィダー・ウィダーって!あんたの胃はウィダーか?!!それともただのゼリーか?!!」
いきなり女性秘書は声を張り上げて怒り出した。
苛立つ矛先は大園だけにならず、ゼリー飲料水にまで被弾している。
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