初めての出合い

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次の日、僕は自分の席に座って、神坂君を待っていた。 ドアが開く音がするたびに、ドアの方を向いてしまう。 少し恥ずかしくて、少し嬉しい不思議な気持ち。 その感情に浸っていると、後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。 「向井くん、少しよろしいでしょうか?」 この人の名前は、木原 杏さん。 いつも教室で静かに本を読んでいる。 話かけられたのも初めてだ。 「木原さん、えっと・・・どうしたの?」 「はい。実は・・・その、神坂君と向井君がですね・・・」 僕は、首をかしげながら彼女をみつめた。 どうやら、大事な話みたいだ。 「お二人の話してるのを見て、私気づいたんです。私、男の娘大好きなんだって!!」 「いや!、そこは気づいて欲しくなかったよ!」 「神坂君を見てキュンとしました。向井君も素質があります!」 朝の教室で、まさかのカミングアウト。 少しだけ引いたような素振りを見せようとした瞬間 「はーろー、おはようございます。」 「が、神坂君おはようございます!、私、木原 杏と申します!」 「はーろー、よろしくなんです。」 神坂君の発音は気になったが、今は、それどころではない。 「おー?、どうかしましたか?」 視線が気になった神坂君は、すぐに木原さんに聞いた。 「あ、あの・・・私、男の娘が好きなんです! だから、神坂君がいれば白ご飯3杯はいけます!」 「野菜を取らないと駄目。細いんですから、ちゃんと食べないと、私・・心配。」 心の中で、「そこ!?」と叫びたくなった言葉を出さないように頑張った。 自分がおかしいのか、神坂君がおかしいのかを、街灯アンケートをしたい。 「な、なんて優しいんでしょう・・・」 「うー、名案を思い付きました。 今日は、私と凪と杏の三人でお弁当を食べましょう!」 木原さんと僕は驚いた。 まさかお弁当を誘われるなんて 「うん、いいよ。」 「私なんかでよければ!」 「おー、三人でお弁当楽しみ。」 お弁当の時間が楽しみだ。 僕達は、同じ気持ちのままお昼休みまで、待つことにした。
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