長瀞ライン下り

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長瀞ライン下り

「リナ、紅葉狩りって知ってる? 梨狩りやミカン狩りとは違うんだよ。」 お母さんがニコニコして言った。 今日があのドライブの日だった。 「知ってるよ。紅葉を見るってことでしょ。」 私は半ば呆れ顔で言った。 はしゃいでるお母さんがちょっとバカみたいに思えた。 「だってね、今日は絶好の紅葉狩り日和なんだってよ。素敵じゃない?」 素敵? キモい。 お母さんの携帯の着信音が鳴った。 「リナ、翔、行くよ!」 私たちはそれぞれにリュックやカバンを持って都営住宅の玄関におりて行った。 お母さんは外に出る寸前に、ファンデーションのコンパクトを開いて口元をチェックして 「よし。」と頷いていた。 何が? 私は心の中で言った。 道路に出ると、見覚えのあるワゴンタイプの車とセダンのファミリーカーがハザードランプをチカチカさせて停まっていた。 2台の車の間で木村コーチと葉山コーチが道順などの段取りを話しているようだった。 「こっちこっち。」 葉山コーチが笑顔で手招きする。 私たちが近くに行くと、 「翔、おはよう。リナちゃんもおはよう。よく来たね。」サングラスをずらして視線を合わせた。
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