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承諾
「だ、誰と?」
知っていてもとりあえずそれしか言葉が出なかった。
宿題をやっていた翔は表情を変えなかった。それどころかチラッと私の顔色を伺った。恐らくすでに知っていたのだ。
「葉山コーチ。コーチとも相談したんだけど、翔と陸くんが中学に上がるタイミングで…と思って。」
お母さんの顔は優しい顔になっていた。
そうだ、以前はもっとキリキリしていていつも疲れた顔つきをしていた。
葉山コーチがお母さんを幸せにしてくれているのかな。
結婚したら今よりもっと幸せになれるのかな。
私が黙り込んでいると、
「リナが嫌なら結婚はしないよ。別に今のままだっていい。」
ということは翔は承諾してるってことか。私は翔を見た。
「俺は賛成だよ。陸と毎日一緒にいられるもん。」
翔はニコっと笑ってお母さんを見た。
そうだよ、お母さんが葉山コーチと結婚したら、あの三兄弟と私たちがきょうだいになるんだ。私は改めて長男の顔を思い出した。
あの海が結婚を承諾するのだろうか。益々グレるのではなかろうか。
想像しただけで恐怖だった。
「あちらのみんなは賛成してるの?」
やっとの思いで声をしぼり出した。
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