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葉山家へ
お正月に葉山家を訪問することになった。
数年前に建て替えたばかりの家はまあまあの豪邸で、ガレージ付きの小さな庭もあった。門から玄関まで踏み石の上を歩いて行く。
「立派な家だよね。」
虎屋の紙袋を持ったお母さんが似合わないワンピースとハイヒールで緊張していた。
「俺はいつも遊びに来てるからよく知ってるよ。」
翔は得意気に踏み石を飛び跳ねた。
「よく来たね。あけましておめでとう!」
玄関で葉山コーチが出迎えてくれた。
奥の和室へ通された。
床の間にお正月用のお花が生けられていて厳かな雰囲気をかもし出していた。
テーブルの上には色とりどりに詰まったおせち料理の重箱が広げられ、「寿」の文字が入った箸袋入り箸と取り皿が並んでいた。
私たちはすすめられるままに座布団の上に正座した。
おばあちゃんがお盆にグラスを人数分のせて入ってきた。
お母さんが慌ててかしこまる。
「明けましておめでとうございます。今日はお招きいただいて、ありがとうございます。」
私たちもお辞儀をするよう背中を押され、頭を下げた。
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