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引っ越し
弟は小学校の卒業式は「川村 翔」で卒業した。そして中学の入学式からは「葉山 翔」として登校する。
学区域の中学ではないので恐らく周囲からそれほど違和感は持たれないだろう。
仲の良い翔と陸は、
「俺たち双子になったんだよな。」
などと笑い合っていたが、
誕生日も違うし顔も似てない二人を誰が双子だと信じるか。それでも、翔たちのその楽観的なところが羨ましかった。
私は中三のクラス替え発表の用紙から「葉山 里奈」と掲載発表されるのだ。
友達や同級生はどんなふうに思うのだろう。
親が再婚して苗字が変わっただなんて、おめでたいことのようで実は子供にとっては全然おめでたくなんかない。いや、百歩譲って、もしもお母さんがキムタクと再婚したら、それはもう誰からも羨ましがられるだろう。
だけど、現実は違う。
きっと私はみんなから「かわいそう。」「新しいお父さんってどうなの?」などと思われるのだ。
だって私だって、私だって思う。
新生活は不安でいっぱいだ。
少しずつ荷物を運んだりして、春休みに引越しは完了した。
陸と翔は二人で一緒の部屋。
私は一人部屋をもらえた。
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