3人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
レモンティー
私がリビングに行くと、
「リナ、手伝って。」
お母さんに呼ばれた。
キッチンでお母さんが給食のおばさんみたいに大きな鍋をかきまわしていた。
「カレー?」
「違うよ、ハヤシライス。全然カレーの匂いなんてしないでしょ?」
「そう言われてみればそうだね。」
「冷蔵庫からポテトサラダ出して。」
私は冷蔵庫を開けてビックリした。
一番上の棚にレモンティーの1.5リットルのペットボトルばかり6本も並んでいた。
「何これ?」
お母さんが笑った。
「私も最初見たとき驚いた。ここのうちのコたち、レモンティーが好きらしい。水とかビールとかと一緒に箱で買い置きしてるんだってよ。」
うちではいつもお母さんが作った麦茶を飲んでいた。
冷蔵庫にはガラス瓶に作った麦茶が常に二本冷えていて、翔のサッカーの練習や試合などにはそれを水筒に入れて持参していたのだ。
レモンティーか。
そういえば、お正月に来たときにも子供はレモンティーで乾杯したんだっけ。
なんだか、習慣の違いを感じた。
いや、環境の違いかもしれない。
この甘酸っぱいオシャレな味に馴染めるのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!