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高1の冬の出来事
高2に進級する前に、理系か文系かはたまた就職か卒業後の進路を選択する必要があった。
わたしは相変わらず家と学校とバイト先、そしてカレシの家を行ったり来たりしていた。
12月の期末テストが終わり、家からバイトに行こうとした玄関でお母さんに呼び止められた。
「リナ、コーチはリナも大学に行っていいって言ってくれてるよ。考えてみたら。」
「就職する。」
「短大でもいいじゃない。せっかくだからさ、イマドキ高卒じゃ勿体ないよ。」
「わたしの人生なんだからわたしが決める。就職する。で、一人暮らしする。」
わたしは革靴のつま先を床にトントンしてカカトを入れると玄関を出た。まだ制服のままだった。
自転車を漕ぎながら考えた。
大学か。
空は大学へ行くんだろう。
そしてゆくゆくは立派な会社に入って、結婚して、家を持って…。
いいんだ。
わたしはわたし。
今を一生懸命に生きていく。
今やりたいことをやっていく。
ハンドルを強く握り、スピードを上げてバイト先に向かった。
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