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日々刻々
毎日が平凡に過ぎていく。
私はこれといった習い事もしてない。
一年生の時にピアノを習った。
ピアノは大好きだった。先生が若くて素敵で優しかった。
上手に弾けるとシールを貼ってくれるのが楽しみで、一生懸命練習した。
といってもうちにはピアノなんてない。
机の上に置くカシオのキーボードだ。鍵盤は61しかないしペダルもない。
五年生の時の発表会で『エリーゼのために』を弾いて子供なりに限界を感じた。
中学受験のために退会した友達につられるようにして私も辞めた。
それ以来キーボードは立てかけたままになっている。
ピアノの練習をしなくなった私には時間がたっぷりあった。
学校へ行って、帰って、宿題をやって、マンガを読んで過ごしていた。
友達はいたけれど、なんとなく面倒臭かった。
友達の持ち物を「可愛いね。」って褒めたり、ジャニーズの切り抜きを交換したり、クラスのコの噂話をすることに辟易していた。
翔は学校から帰ると週二日はサッカーの練習に行った。そして土日には試合へ。
自分の弟ながらエライなぁと思う。
そしてお母さんは、毎日お弁当屋さんで働いて、週に二日ぐらいは居酒屋でも働いていた。
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