第1章

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教室の戸を開けると、ナンチャッテ女子高生がいた。 「どちら様か知りませんが、教室に無断で立ち入らないで頂きたい」 「え、あ、ごめんなさい。 あれ、山岡先生ですよね?」 「はい、山岡ですがどちら様?」 「伊豆です」 「伊豆美沙か?」 「覚えていてくれたんだ」 「当たり前だ! 俺の髪が半分になったのはお前のせいなのだぞ」 「ごめん」 「で、何をやっているのだ?」 「娘の入学手続きに来たら、懐かしくなっちゃって。 あたし、卒業式出席させてもらえなかったから」 「あの時は悪かった。 出産間近のマタニティードレスの女子高生を、出席させる事は出来なかったのだ」 「謝んないで、先生のお陰で卒業できたんだから」 「娘さんの入学手続きだって?」 「うん」 「心配だな?」 「大丈夫、あたしと違って真面目だから」 2年後、山岡の髪は全て無くなった。
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