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教室の戸を開けると、ナンチャッテ女子高生がいた。
「どちら様か知りませんが、教室に無断で立ち入らないで頂きたい」
「え、あ、ごめんなさい。
あれ、山岡先生ですよね?」
「はい、山岡ですがどちら様?」
「伊豆です」
「伊豆美沙か?」
「覚えていてくれたんだ」
「当たり前だ! 俺の髪が半分になったのはお前のせいなのだぞ」
「ごめん」
「で、何をやっているのだ?」
「娘の入学手続きに来たら、懐かしくなっちゃって。
あたし、卒業式出席させてもらえなかったから」
「あの時は悪かった。
出産間近のマタニティードレスの女子高生を、出席させる事は出来なかったのだ」
「謝んないで、先生のお陰で卒業できたんだから」
「娘さんの入学手続きだって?」
「うん」
「心配だな?」
「大丈夫、あたしと違って真面目だから」
2年後、山岡の髪は全て無くなった。
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