第1章

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それから他の部屋を見て回り、その度ブラウン博士は何か思い出したかと聞いてきた。 だけど僕はなかなか思い出せなくて、悲しそうな顔をするブラウン博士に胸が痛む。 「お2人とも、そろそろおやつの時間ですわよ。」 ちょうどそんな時、僕たちをアリヤが呼びに来た。 「ありがとうアリヤ。じゃあマーティン、ダイニングへ行こうか。」 3人でダイニングへ向かう途中、アリヤからいい匂いがした。 あ… この匂いは… 「…マドレーヌ?」 僕の呟きに、2人は驚いた顔で振り向いた。 「まぁすごい!正解ですわ博士!」 「すごいぞ!まさか…思い出した?!」 アリヤは両手を合わせて喜んで、博士は僕の肩を前から掴んで揺らす。 「に…匂いがしたから…。」 甘い匂いの中に微かにレモンの香りがした。
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