第1章

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ブラウン博士の後ろの庭には、左は山へ向かう開き戸があり、右には海へ出る開き戸があった。 「庭の外へ行ってみたい?」 僕の視線に気付いた博士は僕に聞いた。 「…うん。行きたい。」 思い出せることがあるかは分からないけど、こんなに晴れた日だ。海はさぞかしキレイだろうな。 「じゃあ、お昼を食べたら海へ行ってみようか。」 ブラウン博士は目を細めて言った。 アリヤも微笑んだ。 「山は?」 「え…?」 庭からは山と海へ繋がっていた。 だから僕は聞いてみたのだけど…。 「…まだ行くには早い…。」 ……え? 聞き返したかったけど、ブラウン博士があまりにも悲しい顔をして笑うから。 僕はそれ以上聞かなかった。
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