第1章

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僕は、マーティン。 記憶喪失の少年。 この広いお屋敷に、ブラウン博士とアンドロイドのアリヤと暮らしている。 分かることはこのくらいで、あとは懐かしさを感じるだけ。 だけど仕草や癖は出ているみたいで、それを2人は喜んでいる。 「自然だ」と喜んでいる。 と 言うことは、「今」と比較する事が以前にあったということだ。 このお屋敷は、「博士」がいるくらいなんだから、もちろん研究室のような部屋もある。 僕が採血と脳波の検査をした部屋もそうだった。 もしかしたら僕は、記憶喪失じゃなくて… 「マーティン?」 呼ぶ声にハッとして、優しく微笑むブラウン博士を見た。 そういえば、そのはにかむような顔は、どこか見覚えがある。 「どうかした?」 でもそれは、こんな顔だったかな? 「…ううん…。なんでもない。」 また記憶は蘇らず、違和感だけが積もって行く。
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