5人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は、マーティン。
記憶喪失の少年。
この広いお屋敷に、ブラウン博士とアンドロイドのアリヤと暮らしている。
分かることはこのくらいで、あとは懐かしさを感じるだけ。
だけど仕草や癖は出ているみたいで、それを2人は喜んでいる。
「自然だ」と喜んでいる。
と 言うことは、「今」と比較する事が以前にあったということだ。
このお屋敷は、「博士」がいるくらいなんだから、もちろん研究室のような部屋もある。
僕が採血と脳波の検査をした部屋もそうだった。
もしかしたら僕は、記憶喪失じゃなくて…
「マーティン?」
呼ぶ声にハッとして、優しく微笑むブラウン博士を見た。
そういえば、そのはにかむような顔は、どこか見覚えがある。
「どうかした?」
でもそれは、こんな顔だったかな?
「…ううん…。なんでもない。」
また記憶は蘇らず、違和感だけが積もって行く。
最初のコメントを投稿しよう!