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「さて、海に出てみようか?」
ブラウン博士が伸びをして立ち上がり、アリヤは日傘を取りに立った。
玄関へは回らず、そのままテラスから庭へ出ると、そこには花以外に野菜もたくさんなっていた。
あれ?
「あれ?こんなところにトマトなんて、あったかな?」
アリヤを振り返り見上げると、アリヤは口を開けてポカンとしていた。
え?どうしたの?
「まぁ…まぁ!なんてことですの!?覚えてらっしゃいますのね!?」
アリヤがそう叫ぶと、小さな僕に抱きついてきた。
「うわっ!?」
ドサッと尻餅をついてしまい、だけれどアリヤの腕の中は心地が良かった。
「い、痛いよ、アリヤ。」
「ごめんなさい。つい、嬉しくて…。」
アリヤはアンドロイドのくせに、スンスンと鼻をすすった。
「まさか…思い出したの…?」
今度はブラウン博士が目を潤ませて、アリヤの上から抱きついてきた。
「んお、重い!!」
「素晴らしい!あぁ素晴らしい!脳はやっぱり優秀だ!記憶はすでに蘇ってきている!やはり、やはり脳だ!」
ブラウン博士まで加わって、庭の畑で僕らはお団子のように丸まった。
あぁ、土の匂いがする。
そうだ。僕は、この匂いを嗅いだことがある。
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