第1章

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ここは どこだ? この青年は? 私は …誰だ? 「……………。」 うつむいて黙る私に、青年は言った。 「マーティン。」 「…………?」 「この名前に覚えは?」 マーティン…… 少し考えてみたが、思い当たるものがない。 私が首を傾げていると、青年は淋しそうな顔をした。 「では、ブラウン博士は?」 ブラウン博士… それも思い当たらなくて、私は顎に手をあてて考えた。 ― クスッ それを見た青年はクスリと笑い、私の頭を撫でて言った。 「マーティンは…君の名前だよ。」 私の… なまえ? 「時間はまだある。焦らないでいい。ゆっくり思い出そう。」 青年がそう言うと、部屋の扉をノックして、女性が一人入ってきた。 「あら、目が覚めましたのね。ではダイニングへどうぞ。朝食ができてますわ。」 メイド服をきた 綺麗な女性は、私を見るなりニコリと笑った。
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