第1章

5/34
前へ
/34ページ
次へ
「マーティン、」 「………っ!」 金髪の少年。…マーティン。 僕に気をとられていて、ブラウン博士の声にハッとしてしまった。 「君は…記憶喪失だ。」 「記憶喪失……。」 「だが、君は自分で思い出せるはずだ。だって君は素晴らしい脳をもっているのだから。」 「……脳?」 「そう。脳は優秀だよ。我々が先に色々とヒントを与えると、先入観が働いてしまい脳が混乱する。だから今日これからこの屋敷を見て回ることで、君に記憶を少しずつ蘇らせてほしいと僕は思っている。」 「…………。」 「脳は優秀だよ。あと、五感。ミスアリヤのごはんはどう?」 脳の話なんてされてもよく分からなかった。 でも アリヤのごはん。それはわかる気がした。 匂いに胸が一杯になった。 確かに僕の体のどこかで "懐かしい"と言っている。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加