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部屋には懐かしい匂いのするものがたくさんあった。
ベッド、クマのぬいぐるみ、お絵描きセット、望遠鏡。
天体模型、図鑑、辞書。
テーブル、本棚、万年筆。
全て、すべて懐かしい。
「どうかな?」
部屋を眺める僕に、博士はクマのぬいぐるみを拾い問いかける。
「……なつかしい。」
「そう…他は?何か思い出した?」
「…………。」
思い出す… ことはない。
ただ酷く懐かしくて、胸が締め付けられるだけだ。
「……ブラウン…博士、」
「……なんだい?」
ここ、ほんとうに僕の部屋?
「うぅん。何でもない。」
そう言いたかったけど、言葉にはしなかった。
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