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おはじきを並べるかちかちという音が小気味良い。
これは、目の前で書を読んでいる方がわたしに買い与えてくれたものだ。
わたしは、神獣のはくたくさまと暮らしている。
わたしはみなしごだ。
主人に捨てられ、村を出てふらふらと彷徨っていたところ、はくたくさまに拾われた。
はくたくさまとの暮らしはとても楽しい。
毎日必ず一つ、新しいことを教えてくださる。
昨日は、食べられる草と毒のある草の見分け方。
一昨日は、魚の釣り方。
今日は何を教えて下さるのだろう。
・・・あ。
はくたくさまが仰っていたことで一つ、気になることがある。
「僕には体中に目があって、全部で九つもあるんだよ~」
・・・。
体中に目・・・?
一体、どのように見えているのだろうか。
わたしはおはじきを並べる手を止め、向かいに座っているはくたくさまをじっと見つめた。
「・・・・・・」
「・・・ん?」
はくたくさまがわたしの視線に気づいて、書から顔を上げた。
「どうしたの?おはじきはもう飽きてしまったかい?」
はくたくさまは私を見て微笑んだ。
「いえ、違うのです。はくたくさま、一つ教えてください。」
「勉強がしたいのかい?丁は本当に勉強熱心だね。」
はくたくさまは読んでいる項に紐をかけ、書を閉じた。
「いいよ。何が分からないのかな?」
「はくたくさまは以前、目を九つお持ちだと仰いましたよね?九つも目があって・・・どのように見えているのですか?」
「え・・・?」
はくたくさまは少し驚かれているようだ。
「・・・ふふふ。丁はそんなことが気になるのかい?」
はくたくさまは袖で口元を隠して笑った。
「あの・・・はい。あのお話を聞いてからずっと疑問に思っていました。」
「そっかあ、いいよ。じゃあ教えてあげる」
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