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鳥のさえずりと朝日の眩しさで目を覚ます。
「うん、今日も良い天気だね~」
起き上がって伸びをする。
隣を見やると、丁が健やかな寝息を立てて眠っている。
よく寝ている。
布団から覗く小さな顔を見つめる。
頬はふっくらしていて触り心地が良さそうだ。
大きな瞳は今は閉じられていて、長い睫毛がより際立つ。
「丁は可愛いね~」
眠る幼子の頭をふわりと撫でる。
さらさらの髪がまるで絹のようだ。
「今日は何して遊ぼうか?」
「今日は何の勉強がしたい?」
答えが返ってこないのは分かっているが、丁に訊ねる。
この子がうちに来てから毎日が新鮮なものに感じられた。
朝起きて、遊んで、勉強して、ご飯食べて、お風呂入って、一緒に寝る。
そしてまた朝が来る。
一日の流れは至極単純なものだが、それが面白くて楽しい。
この子は、僕を恩人の様に言うけど、逆だ。
僕がこの子と出会ったことで救われたのだ。
いつも一人だった僕に毎日を生きる楽しさを教えてくれている。
「ありがとう、丁。」
もう一度、頭を撫でる。
すると、小さく声を上げ、眉を微かに顰めた。
「ん・・・」
丁の瞼がゆっくり開かれていく。
そして、僕をその瞳に映す。
「おはよう、丁。」
今日も良い天気だよ、と窓を振り返る。
「おはようございます、はくたくさま。」
丁はぽやんとした可愛らしい声で挨拶してくれた。
丁がゆっくりと身体を起こす。
まだ睡魔と闘っているのか、目を擦り始めた。
「ああ、目を擦っちゃだめだよ。傷が付いちゃうからね。」
「あ・・・はい。」
聞き分けの良い丁はすぐに目元から手を離した。
「いい子だね。さあ、顔を洗いに行こう。」
丁をひょいと抱き上げて、庭の井戸へ向かった。
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