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ふたたび魚を振り上げたゆるキャラの、数多の星が描かれた大きな目の奥に、狂気の笑みが垣間見える。
次の瞬間、ゆるキャラの側頭部にカナのドロップキックが食い込んだ。
その躍動する太ももは、夏の太陽に白く輝き、無意識に俺の脳裏へと焼き付けられる。
そう、ゆるキャラは前しか見えていないから、横から攻めたカナは死角となったのだ。
カナの不意打ちは成功し、ゆるキャラは再び地面を転がる。
「てめえ、ただモンじゃねえな」
ゆらりと立ち上がったゆるキャラは、腰を低く構えたカナと向かい合う。
ペンギン vs 女子高生(猫娘)。
後にも先にも、まず目にすることはない、不条理な光景。
俺は様子を伺いながら、そっとゆるキャラの背後に回った。
前しか見えないゆるキャラは、俺の動きに気がつかない。
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