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ゆるキャラとカナは、睨み合いを続けている。
お互いの動きを探り、間合いを計るその様子は、異様な殺気に満ちていた。
カナが注意を引いたおかげで、俺は難なくゆるキャラの背後に接近する。
頭の被り物を両手で掴むと、一気に反対側に回転させた。
「うおっ!!」
いきなり視界を奪われ、悲鳴を上げるゆるキャラ。
背中を押すと、簡単にうつぶせに倒れた。
と言っても、ペンギンの顔はこちらを向いているのがホラーだが。
ふと、閃いた。
俺はゆるキャラの背中に馬乗りになると、胸のジャケットに突き刺さったままの、針のような日傘の先端を引っこ抜いた。
ペンギンの両羽根を後ろ手にくっつけると、針を通し折り曲げて固定する。
視覚を奪われ、後ろ手(いや羽根か)を繋がれたゆるキャラは、うなり声を上げながらその場をごろごろと転がった。
もう、こいつは起き上がれない。
「やるじゃん、オジサン」
カナが感心したように、手を叩く。
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