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と、背後で女の子の泣き声がする。
振り返ると、5才くらいの小さな女の子が、俺を睨んで号泣していた。
「ぺんぺんをいじめないれ!」
そのぺんぺんは、路上で悶えながら、とても子供に聞かせられない汚い言葉を吐き続けている。
俺は女の子に近づくと、しゃがんで優しく声を掛けた。
「ぺんぺんをたすけるほうほうがひとつある。いまからいうじゅもんをおかあさんにつたえるんだ。いい?」
女の子は涙を零しながら、深く頷く。
「じゅもんはこうだ。『ふしんしゃがいるからけいさつをよんで』」
「ふひんひゃがいるからけーさつをよんれ!」
「そう、いいこだ。はやくおかあさんにつたえないと、ぺんぺんはみずがなくなってしんでしまう。いそいで」
女の子は踵を返すと、全力で走り去っていった。
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