2. 殺し屋たち

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「不審者が不審者をやっつけるなんて、笑える」 カナはひとりでウケている。 「笑うな。殺し屋はもうたくさんだ」 早足で歩きながら、来た道を戻る。 「どこ行くの、オジサン」 「美咲を探す。殺し屋に狙われているのが俺のせいだとすれば、なんとしても助けなきゃ」 「ほうほう、ストーカー愛ってやつですかい」 確かに美咲のことは愛している、ような気がする。 「でも、どうやって探す気? 美咲さんがどこ行ったかもわからないのに」 「ひとつだけ心当たりがある。付き合ってた頃の記憶かもしれないが、美咲は休日になると、よくひとりで江ノ島へ行っていたんだ。野良猫に会うために」 「江ノ島? 海行くの!?」 カナの表情が、ぱあっと明るくなる。 「おまえを連れて行くわけないだろうが」 ふたたび、マンションの前まで戻ってきた。 美咲と男が住むマンション。 だが、なぜか俺を引き寄せる。 マンションの前に停めたバイクにキーを差し込み、エンジンをかける。 夏のねっとりした空気を、1300ccの排気音が切り裂いた。 腕時計を見ると11時半。かっとばして、江ノ島まで1時間半くらいか。 美咲が見つかるかどうかは分からないが、少しでも可能性があるなら行ってみる価値はある。
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