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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「キャハハハハハハハ……」
バイクから降りたカナが、狂ったように笑い続けている。
三鷹と江ノ島の、ほぼ中間地点である保土ヶ谷インターチェンジにあるサービスエリア。
カナがトイレに行きたいと、後ろで暴れ始めたのでやむを得ずバイクを停めたとたん、これだ。
「いつまで笑ってんだ。早くトイレ行ってこいよ」
「……だって……速い、速すぎるよ、その乗り物……」
カナはお腹をかかえたまま、地べたに座り込んで笑い続けている。
人は想像を絶する体験をすると、恐怖を通り越して、笑いが止まらなくなるらしい。
子供連れの家族が、不審そうに目をやりながら通り過ぎていく。
その目は、カナのそばにいる俺(保護者)にも注がれる。
やれやれ、ここでも不審者扱いかよ。
俺はカナを放置して、スマホを取り出した。
幸い、次の殺し屋発送メールはまだ来ていない。
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