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写真アプリを起動して、猫の写真をもう一度、眺める。
江ノ島は周囲4キロと小さな島ではあるが、江島神社の社殿が3箇所にあり、展望台や洞窟もある。
島に入ると以外と広く、観光スポットも多い。
当てども無く美咲を探している時間はない。
美咲がいるとすれば、猫がいる場所だ。
猫はそれぞれ縄張りを持っているから、生息している場所も限られる。
俺は猫写真の背景に目を凝らして、場所を思い出そうとする。
だが、どれも猫のアップで、後ろの景色が殆ど見えない。
次々と写真をスワイプしているうちに、あの男のにやけた写真で手が止まる。
「誰、それ?」
いつの間にか素に戻ったカナが、スマホを覗き込んでいた。
「葉山浩介っていう、美咲の旦那。なんか、俺に似ていて気味が悪いが」
「ふうん。でも、なんか変な写真だね」
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