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なんとなくだが、カナを連れて来てやって良かったと思い始めている。
警察に尋問されたら「未成年者略取」とやらで言い訳立たないが。きっと。
何の因果か、こんなところまで連れて来てしまったが、つい数時間前に会ったばかりの奇妙な女の子だ。
俺は全然カナのことを知らない。
おそらくあのマンションの近所に住んでいて、数学が苦手で、食欲旺盛で。
知っているのは、その程度。
だが、そんなカナをどこか可愛いと感じている自分もいる。勿論、恋心とかそういう意味ではなく。
どこか、不思議な魅力を持った猫娘だ、こいつは。
「ねえっ!!」
いきなりヘルメット越しに、カナのがなり声が脳天を貫き、俺は飛び上がった。
弾みで車体がふらふらと蛇行し、あわててハンドルを握り直す。
「なんだよ、急に大声出すなよ。心臓停まるだろ。殺し屋か、おまえは」
「さっきから、話しかけてるのに反応がないからだよ。何、ぼうっとしてるのさ」
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