Futuer World

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目の前に現れた世界は、私の予想を遥かに凌駕していた。 「これが東京……いや、これが、日本だと……いうのか……?」  震える問いかけに、『Mit-2013』は無言無表情のまま頷く。ある程度覚悟はしていたものの、そのあまりの変貌ぶりは私を絶句させるのになんら不足なかった。 色鮮やかで大規模な建物が大きな道路を挟んで整然と群を成し、建物の随所からは別の建物に向けチューブのような橋が伸びて連結している。空には単車サイズの空挺らしき物体が無数飛び交い、町にはどこから流れているのか遊園地のように賑やかな音楽が漂っている。 建物を脇に控えさせた大きな道路は専ら貨物の運搬に使われているらしく、丸い電車のようなものが大きな台車を牽いて流れていくのが見えた。まさに映画に出てくるような、ステレオタイプな未来都市だ。 そして何より目を引くのが、電車のようなものの通る大通りの果て、街の中心に位置する巨大な建物だった。 いや、あれは建物と言って良いのだろうか。かなり離れたこの位置からもよく見えるが、恐ろしく巨大な尖塔となった〝それ〟の各所には様々な形状の謎の機械が取り付けられており、それぞれが輝きを放ったり蠢いたりしていた。 取り付けられているというよりも、機械の集合体であると表現する方が的確か。『Mit-2013』が示した地図の通りだと、あの巨大な尖塔を中心とした放射状に道路が整備され、現在の東京が形作られているらしかった。 「あれが『Wonder-x00《エクスゼロ・ワンダ》』。超高性能演算機(スーパー・コンピュータ)を始めとした膨大な機器を結合し、ありとあらゆる事象を正確に計算する事を可能としています。明日の天気予測から統計作業まで何でも行い、果ては国民全ての健康状態や国内中のロボットの稼働状況なども全て把握する事が可能となります」 『Mit-2013』の淡々とした説明が続く。なるほど、アレが先ほど彼女の言っていた、この姿を与えたという機械か。 だが説明通りならばあれは演算機(コンピュータ)のはず。計算や情報処理の道具であり、他のロボットに改造を施すような代物ではない。
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